組織開発コンサルティングレポートVol.004「なぜ、現場のコミットメントが高まらないのか?」
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業種
企業経営
- 種別 レポート
なぜ、現場のコミットメントが高まらないのか? 解説
株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役 / 江畑 直樹
とある企業での一例をご紹介します。
商材を扱っているA部門長から、他の部門長に対して、強い口調での発言がありました。
「顧客目線に立って、当社の商材に関するすべての知識を持って営業してほしい。どれだけ研修やチェックリストを作成しても、売ってくる人は売ってくるが、売らない人は一向に変化がない。
部門長からの指導が足りていないのではないか?この商材の価値について、そもそも部門長がコミットしていないのではないか?」
この発言に対して、他の部門長は下を向いて沈黙し、しばらくしてから一言。
「意識を改めます。」
これでは今後、状況が変わらないのは目に見えています。
このような状況に陥ってしまう企業は、少なからずあるように思います。この流れをどのように打破していけばよいのでしょうか?
人は「させられること」に抵抗を感じる
ここで考える必要のあることは、他の部門長がコミットできていない理由を掘り下げることにあります。
コミットしていない状況の中で「もっと考えなさい。成果を出しなさい。」と言われてもやらされ感が募るばかりです。そのため、成果を挙げられたとしても一時的にとどまり、2~3か月もすれば元の状態に戻ってしまうでしょう。
何故なら、「言われないようにとりあえず頑張ろう。」とする意識が働いているだけで、「よし、やっていこう。」という当事者としての意識にスイッチが入っていないためです。
人は、「させられること」に強い抵抗意識を感じてしまうものなので、強制的に求めていくやり方は、相手の怠慢さが明らかな課題の本質になっている場合には有効ですが、理由がよくわからない中では逆効果となってしまいます。
そのため、成果だけをみてやる気がないと判断するのではなく、まずは相手がどのような状況にあるのかをしっかりと確認する必要があります。
相手の目線に立って、状況を確認しているか
こちらの企業では、他の商材を販売できていない原因を掘り下げて聴いていくと、部門長それぞれの状況が異なっていることが判明しました。
ある部門長は、部下全員に積極的に働きかけているものの、販売してこない部下の態度が悪く育成に困っていました。
別の部門長は、その商材に対するクレームが相次ぎに起きて部下が営業に消極的になってしまったことを、A部門長の圧力が強いため相談することもできませんでした。
またある部門長は、中途採用で入社してマネジャーになったため、他の商材を積極的に部下に求めていくほどの余裕がなかったのです。
相手に寄り添い、打開策を共に考える
それぞれの状況を相手目線に立って確認できれば、どうサポートできるかが観えてきます。表面的に見える結果だけに捉われず、「何が起きているのか?」に目を向けて相手に寄り添った態度で状況を確認していくことが第1に求められます。
そのうえで、どのような態度や対応で、相手に踏み込んでいくかを考えることが必要になるでしょう。
うまく物事が進まない状況に陥った際は、疑問を持つ、関心を持つ、相手に寄り添ってみる、その上で打開策を共に考える、をチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
このレポートの解説者
江畑 直樹(えばた なおき)
株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役
2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事する。約2年間にわたる医療・福祉のグループ法人への出向を含め、これまでに100以上の医療法人、社会福祉法人の支援実績を有する。
2018年に株式会社ミライバを設立し、組織の風土改革や次世代リーダーの育成、幹部・管理職の視座の向上等をテーマとする組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。
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